!== !== BROWSING.txt for Samba release 2.0.7 26 Apr 2000 !== Author/s: Many (Thanks to Luke, Jeremy, Andrew, etc.) Updated: July 5, 1998 Status: Current - For VERY Advanced Users ONLY 翻訳者: 松田 俊夫 校正者: 佐藤 文優 更新日: 1998 年 11 月 10 日 要約: ブラウジングを改善するための Samba の設定方法について述べる =================================================================== 概要: ===== SMB ネットワーキングは、クライアントがネットワーク上に存在するマシンの リストにアクセスする機構を提供する。このリストは、ブラウズリストと呼ば れ、あらゆる SMB クライアントで頻繁に利用される。SMB ブラウジングは、 Samba 利用者にとって問題となっていたので、この文書にまとめることにした。 ブラウジングが動作するためには、NetBIOS 名から IP アドレスへの名前解決 が正しく機能していなければならない。この NetBIOS(SMB) 名から IP アドレ スへの名前解決を支援するために WINS サーバの利用が強く勧められている。 WINS により、離れたセグメントのクライアントが、他の名前解決手段では提 供されない NetBIOS 名の型の情報を獲得することができる。 (訳注: NetBIOS 名の 16 バイト目の「リソース・タイプ」のことだろうか?) ===================================================================== ブラウジング ============ 現在の Samba は、完全なブラウジングをサポートしている。ブラウジングは nmbd によりサポートされ、smb.conf ファイルのオプションにより制御される。 (smb.conf(5) 参照) Samba は、ワークグループのためのローカルなブラウズ・マスタとして動作す ると同時に、ドメイン・ログオンおよびスクリプトをサポートする能力も有し ている。ドメイン・ログオンについての詳細な情報は、DOMAIN.txt を参照。 また、Samba はワークグループのためのドメイン・マスタ・ブラウザとしても 動作する。これは、ローカル・ブラウズ・マスタ群からのリストを収集・編集 し、広域ネットワークサーバリストを構成できることを意味する。ブラウズ・ クライアントがこのリストにある名前を解決するため、Samba とそのクライア ントの双方が WINS サーバを使用することが望ましい。 NT ドメインと同一の名前を持つワークグループのためのドメイン・マスタと して Samba をセットアップしてはいけない。つまり、各広域ネットワーク上 で、ワークグループに対するドメイン・マスタ・ブラウザは一つだけにすべき である。たとえ、それが NT であろうと、Samba であろうと、また同種の機能 を提供する他のドメイン・マスタであろうと。 [nmbd を WINS サーバとして構築することは可能であるが、必ずしも WINS サーバとして特に Samba を使用する必要はない、という点に注意してほしい。 NTAS を WINS サーバとして構築してもよい。広域ネットワークにおける NT サーバと Samba の混在環境では NT サーバの WINS サーバ機能を用いること が望ましい。Samba のみの環境では、ある nmbd を一つだけ WINS サーバとし て利用することを勧める。] ブラウジングを動作させるためには、nmbd を通常どおり起動する必要がある が、Samba がどのワークグループに属するかを制御する "workgroup" オプショ ンを smb.conf で設定しなければならない。 また、Samba サーバを他のサブネット上でブラウジングさせるための有用なオ プションがある。ただし、このオプション (例えば、インタネットへの通報 (announcements)) は例外的な用途で用いることが望ましい。詳細は smb.conf のマニュアルページの "remote announce" の項を参照。 何か動作がおかしい場合は、問題を追跡するのに log.smb ファイルが役立つ と思われる。問題を調べるためにはデバッグレベルを 2 か 3 にしてみるとよ い。 うまく動作していないときは、ファイルマネージャでサーバ名を \\SERVER と 入力し、 enter を押して、ファイルマネージャが共有名のリストを表示する かどうかみてみるとよい。 グローバルな "guest account" が有効なアカウントに設定されていないため ブラウジングが失敗することがある。共有名をリストする IPC$ 接続は guest で行われるので、有効な guest アカウントが必要となる。 また、inetd.conf に指定する nmbd のコマンド行のパラメータが多すぎるため、 問題となることがよくある (訳注: inetd.conf のコマンドに 5 つ以上の パラメータを指定できない実装があるため)。これを回避するには、オプション とパラメータの間に空白を入れないようにしたり (たとえば '-d 2' の代わりに '-d2' と指定する)、-B と -N オプションを使わないようにする。nmbd の 新しいバージョンでは、正しいブロードキャスト、およびネットワークアドレスを 従来よりはるかに発見し易くなっているので、多くの場合これらのオプションは 不要である。 皆が経験する他の大きな問題は、ブロードキャストアドレス、ネットマスク、 あるいは IP アドレスが間違っている (smb.conf の "interfaces" オプショ ンで指定) というものである。 サブネットをまたがるブラウジング ================================ Samba 1.9.17(alpha1 およびそれ以上) のリリースでは、サブネットをまたが るブラウズ・リストの複製のサポートを可能とするように更新された。これを 実現するために新しいコードとオプションが追加された。本節では異なる環境 でこの機能をセットアップする方法について述べる。 複数 TCP/IP サブネット (すなわち、ブロードキャスト・メッセージを通さな いルータによって隔てられたネットワーク) にまたがるブラウズ・リストを見 るためには、少なくとも一つの WINS サーバをセットアップしなければならな い。WINS サーバは NetBIOS 名のための DNS として動作し、このサーバに直 接問い合わせることにより NetBIOS 名から IP アドレスへの変換が可能とな る。これは WINS サーバマシンのポート 137 宛の UDP パケットを介して 実現される。WINS サーバが必要となる理由は、デフォルト設定で NetBIOS 名 から IP アドレスへの変換が、要求側のマシンから発せられるブロードキャス トによって行われるからである。これは、WINS サーバを用いなければ、ある サブネット上のマシンが、他のサブネット上の名前を解決できないことを意味 する。 サブネットをまたがるブラウジングを正しく動作させるためには、Windows 95 か Windows NT か Samba サーバかの如何にかかわらず、すべてのマシンが WINS サーバの IP アドレスを持っていなければならないということを覚えて おいてほしい。そのアドレスは、DHCP サーバから与えられたものでもいいし、 手動で設定してもよい。 (Win95 および WinNT ではネットワーク設定の TCP/IP プロパティで行い、Samba では sbm.conf で行う。) サブネットをまたがるブラウジングはどのように動作するか? ======================================================= サブネットをまたがるブラウジングは、多くの可動部分を含み、複雑な振る舞い (dance) をする。Microsoft は数年かけてブラウジングを正しく実現する コードを完成させており、Samba はまだいくつかの分野で立ち遅れている。 しかし Samba の 1.9.17 のリリースでは、正しく設定すればサブネットを またがるブラウジングを行うことができる。 次のように構成されたネットワークについて考えよう。 (DMB) N1_A N1_B N1_C N1_D N1_E | | | | | ------------------------------------------------------- | subnet 1 | +---+ +---+ |R1 | Router 1 Router 2 |R2 | +---+ +---+ | | | subnet 2 subnet 3 | -------------------------- ------------------------------------ | | | | | | | | N2_A N2_B N2_C N2_D N3_A N3_B N3_C N3_D (WINS) 2 つのルータ (R1, R2) -- これらはブロードキャストを通さない -- により 接続された 3 つのサブネット (1, 2, 3) で構成されている。サブネット 1 は 5 台のマシンを、サブネット 2 は 4 台のマシンを、サブネット 3 は 4 台 のマシンを含んでいる。ここでは簡単のために、これらすべてのマシンは同じ ワークグループに入るように設定されていると仮定する。サブネット 1 上の マシン N1_C はドメイン・マスタ・ブラウザ (すなわち、ワークグループの ためにブラウズ・リストを照合する。) である。マシン N2_D は WINS サーバ として設定され、他のすべてのマシンは自分の NetBIOS 名をそこに登録する ように設定されている。 すべてのマシンはブートされたときに、各サブネットでマスタ・ブラウザになる ための選定が行われる。サブネット 1 ではマシン N1_C が、サブネット 2 で はマシン N2_B が、サブネット 3 ではマシン N3_D がそれぞれ勝利したと仮 定する。(これらのマシンは、それぞれのサブネットのためのローカル・マス タ・ブラウザと呼ばれる。) N1_C はドメイン・マスタ・ブラウザとして設定 されているため、サブネット 1 上のローカル・マスタ・ブラウザ選定で勝利 しやすい利点を持っている。 3 つのネットワークのそれぞれにおいて、共有サービスを提供するように設定 されたマシンは、これらのサービスを提供していることをブロードキャストす る。各サブネット上のローカル・マスタ・ブラウザは、これらのブロードキャ ストを受信し、そのマシンがサービスを提供しているという事実を記録する。 この記録のリストがブラウズ・リストの基礎になる。この例では、すべての マシンがサービスを提供するように設定されているので、すべてのマシンが ブラウズ・リスト上に存在する。 それぞれのネットワークにおいて、そのネットワーク上のローカル・マスタ・ ブラウザは、ローカル・ブロードキャストを介して受信するすべての名前に 対して '権威を持つもの(authoritative)' とみなされる。これは、ローカル・ ブロードキャストを介してローカル・マスタ・ブラウザから見えるマシンは、 ローカル・マスタ・ブラウザと同一のネットワーク上にあり、'信頼される (trusted)' かつ '確認できる(verifiable)' リソースであるからである。 ローカル・マスタ・ブラウザが収集したほかのネットワーク上にあるマシンは、 ブラウズ・リストを照合したときに直接参照することができない。 (これらのマシンの記録は '権威のないもの(non-authoritative)' と呼ばれる) この時点でブラウズ・リストは次のように見える。(これらは、それぞれの ネットワーク上でネットワーク・コンピュータ (network neighborhood) を 参照すると見えるマシンである。) Subnet Browse Master List ------ ------------- ---- Subnet1 N1_C N1_A, N1_B, N1_C, N1_D, N1_E Subnet2 N2_B N2_A, N2_B, N2_C, N2_D Subnet3 N3_D N3_A, N3_B, N3_C, N3_D ここで注意することは、すべてのサブネットが分離されており、どのマシンも サブネットを越えて見えないことである。 サブネット 2 について調べてみよう。N2_B がローカル・マスタ・ブラウザに なると、すぐにそのブラウズ・リストとの同期をとるべきドメイン・マスタ・ ブラウザを探す。これは、NetBIOS 名 WORKBROUP<1B> に関連づけられた IP ア ドレスを WINS サーバ (N2_D) に問い合わせることにより行われる。この名前 は、ブート時にドメイン・マスタ・ブラウザ (N1_C) によって WINS サーバに 登録されている。 N2_B が一旦ドメイン・マスタ・ブラウザのアドレスを知ると、UDP ポート 138 のパケットとして MasterAnnouncement パケットを送ることによりサブネッ ト 2 のローカル・マスタ・ブラウザであることを伝える。それから NetServerEnum2 呼び出しを用いてそれとの同期をとる。これは、ドメイン・ マスタ・ブラウザに対して知り得るすべてのサーバ名を送るように要求する。 ドメイン・マスタ・ブラウザが MasterAnnouncement パケットを受信すると そのパケットの発信者に対して同期要求を計画的に実施する。両方の同期が 完了するとブラウズ・リストが以下のようになる。 Subnet Browse Master List ------ ------------- ---- Subnet1 N1_C N1_A, N1_B, N1_C, N1_D, N1_E, N2_A(*), N2_B(*), N2_C(*), N2_D(*) Subnet2 N2_B N2_A, N2_B, N2_C, N2_D N1_A(*), N1_B(*), N1_C(*), N1_D(*), N1_E(*) Subnet3 N3_D N3_A, N3_B, N3_C, N3_D 後ろに (*) がついたサーバは non-authoritative な名前である。 この時点でサブネット 1 および 2 上でネットワーク・コンピュータを のぞくとユーザは両サブネットのすべてのサーバが見えるが、サブネット 3 上のユーザはまだ自身のサブネット上のサーバしか見えない。 N2_B について起こったのと同じ事象が今度はサブネット 3 上のローカル・ マスタ・ブラウザ (N3_D) について起こる。N3_D が、ブラウズ・リストを ドメイン・マスタ・ブラウザ (N1_C) と同期させると、サブネット 1 および サブネット 2 上のサーバ情報を獲得する。N3_D が N1_C と同期し、その逆も 終るとブラウズ・リストは以下のようになる。 Subnet Browse Master List ------ ------------- ---- Subnet1 N1_C N1_A, N1_B, N1_C, N1_D, N1_E, N2_A(*), N2_B(*), N2_C(*), N2_D(*), N3_A(*), N3_B(*), N3_C(*), N3_D(*) Subnet2 N2_B N2_A, N2_B, N2_C, N2_D N1_A(*), N1_B(*), N1_C(*), N1_D(*), N1_E(*) Subnet3 N3_D N3_A, N3_B, N3_C, N3_D N1_A(*), N1_B(*), N1_C(*), N1_D(*), N1_E(*), N2_A(*), N2_B(*), N2_C(*), N2_D(*) 後ろに (*) がついたサーバは non-authoritative な名前である。 この時点でサブネット 1 または 3 上でネットワーク・コンピュータを のぞくとユーザは全サブネットの全サーバが見えるが、サブネット 2 上の ユーザはまだサブネット 1 および 2 上のサーバしか見えず、サブネット 3 は 見えない。 最後にサブネット 2 のローカル・マスタ・ブラウザ (N2_B) が再びドメイン・ マスタ・ブラウザ (N1_C) と同期し、不明サーバの情報を受け取る。 最終的に、そして安定状態に入ると (どのマシンも除かれたり、停止したりし なければ) ブラウズ・リストは以下のようになる。 Subnet Browse Master List ------ ------------- ---- Subnet1 N1_C N1_A, N1_B, N1_C, N1_D, N1_E, N2_A(*), N2_B(*), N2_C(*), N2_D(*), N3_A(*), N3_B(*), N3_C(*), N3_D(*) Subnet2 N2_B N2_A, N2_B, N2_C, N2_D N1_A(*), N1_B(*), N1_C(*), N1_D(*), N1_E(*) N3_A(*), N3_B(*), N3_C(*), N3_D(*) Subnet3 N3_D N3_A, N3_B, N3_C, N3_D N1_A(*), N1_B(*), N1_C(*), N1_D(*), N1_E(*), N2_A(*), N2_B(*), N2_C(*), N2_D(*) 後ろに (*) がついたサーバは non-authoritative な名前である。 ドメイン・マスタ・ブラウザとローカル・マスタ・ブラウザと同期化は継続的 に起こるが、これが安定状態になるはずである。 もしルータ R1 または R2 が故障すると次の事態が起こる。 1) アクセス不能なネットワークセグメント上のコンピュータの名前は 36分間 ネットワーク・コンピュータのリスト内に維持される。 2) これらのアクセス不能なコンピュータに接続しようとする試みは失敗する が、名前がネットワーク・コンピュータのリストから除かれるわけではない。 3) セグメントの一つが WINS サーバから切り離されると、サブネット内に 隔離されたブロードキャストによる NetBIOS 名解決を用いてローカル・ サブネット上のサーバにだけアクセスできる。その影響は DNS サーバへの アクセスが絶たれた場合に似ている。 WINS サーバのセットアップ ========================= Samba マシンまたは Windows NT サーバマシンのいずれでも WINS サーバとし てセットアップできる。Samba マシンを WINS サーバに設定するためには選定 されたマシン上の smb.conf に以下のオプションを追加しなければならない。 [global] セクションに以下の行を追加する。 wins support = yes 1.9.17 より以前のバージョンの Samba ではこのパラメータがデフォルトで yes となっていた。ネットワーク上に古いバージョンの Samba が存在するな ら是非 1.9.17 以上にアップグレードするか、少なくともすべてのマシン上で このパラメータを 'no' に設定してほしい。 "wins support = yes" と設定されたマシンは、登録されたすべての NetBIOS 名のリストを保持し、NetBIOS 名に対する DNS として動作する。 Windows NT サーバを WINS サーバとしてセットアップするためには、WINS サ ービスをセットアップする必要がある。(詳細は、NT のドキュメントを参照) Windows NT の WINS サーバは相互に複製となることができ、複雑なサブネッ ト環境では一つ以上の WINS サーバをセットアップできることに注意してほし い。Microsoft がこの複製プロトコルの文書化を拒否しているため、Samba は 現在この複製化に参加することができない。将来、Samba から Samba への WINS 複製プロトコルが定義される可能性があり、その場合複数の Samba マシ ンを WINS サーバとしてセットアップすることが可能となるが、現在は "wins support = yes" というパラメータを持つ Samba マシンは 1 台だけとすべき である。 WINS サーバが構築されたならば、ネットワークに参加する全マシンがこの WINS サーバのアドレスを使うように保証しなければならない。WINS サーバが Samba マシンであれば、Windows 95 あるいは Windows NT の "コントロール パネル -> ネットワーク -> プロトコル -> TCP -> WINS サーバ"というダイ アログで "プライマリ WINS サーバ" フィールドに Samba マシンの IP アド レスを記入する。Samba サーバに WINS サーバの IP アドレス を知らせるに はすべての smb.conf ファイルの [global] セクションに次の行を追加する。 wins server = ここで、 は WINS サーバマシンの DNS 名かその IP ア ドレスである。 注意すべき点は、WINS サーバとして動作する Samba サーバ自身の smb.conf には決してこの行を追加してはいけないということである。もし "wins support = yes" オプションと "wins server = " オプションの両方を 設定すると、nbmd の起動が失敗するであろう。 クロス・サブネット・ブラウジングをセットアップするのに二つの可能なシナ リオがある。以下の最初の節では、Windows NT ドメインの一部として構築さ れていない Windows 95、Samba および Windows NT マシンを含むネットワー クにおけるクロス・サブネット・ブラウジングのセットアップについて詳述す る。次の節で、NT ドメインを含むネットワークにおけるクロス・サブネット・ ブラウジングのセットアップについて詳述する。 ワークグループにおけるブラウジングのセットアップ ================================================ NT ドメインではなくワークグループに属するように設定されたマシンだけを 含むネットワーク上でクロス・サブネット・ブラウジングをセットアップする ためには、Samba サーバをドメイン・マスタ・ブラウザ (これはプライマリ・ ドメイン・コントローラと同じではないことに注意 - もっとも NT ドメイン では同一マシンが両方の役割を担うが) にセットアップする必要がある。 ドメイン・マスタ・ブラウザの役割はワークグループに参加するマシンを含む すべてのサブネット上のローカル・マスタ・ブラウザからブラウズ・リストを 収集することにある。ドメイン・マスタ・ブラウザとして構築されたマシンが なければ各サブネットは孤立したワークグループとなり、他のサブネット上の どのマシンも見えない。ワークグループにおいてクロス・サブネット・ ブラウジングを可能とするのはドメイン・マスタ・ブラウザの存在である。 ワークグループ環境においてドメイン・マスタ・ブラウザは Samba サーバで なければならない。そして、各ワークグループ名ごとにドメイン・マスタ・ブ ラウザが一つだけ存在していなければならない。Samba サーバをドメイン・マ スタ・ブラウザにセットアップするためには、smb.conf ファイルの[global] セクションに次のオプションを設定する。 domain master = yes ドメイン・マスタ・ブラウザはそれ自身のサブネットに対するローカル・マス タ・ブラウザになることが望ましい。これを実現するためには smb.conf ファ イルの [global] セクションに次のオプションを設定する。 domain master = yes local master = yes preferred master = yes os level = 65 必要に応じドメイン・マスタ・ブラウザを WINS サーバと同一マシンにしても よい。 次に、ワークグループのためのローカル・マスタ・ブラウザとして動作するマ シンを各サブネットが含むように保証しなければならない。どの NT マシンで もこれを行うことができ、Windows 95 マシンでもよい。(ただ、後者はより 頻繁にブートされるのでこれを用いるのはあまりよい考えとはいえない。) Samba サーバをローカル・マスタ・ブラウザにするには smb.conf ファイルの [global] セクションに次のオプションを設定する。 domain master = no local master = yes preferred master = yes os level = 65 各サブネットで 1 台以上の Samba サーバにこの設定を行ってはいけない。さ もなければどちらがローカル・マスタ・ブラウザになるかでお互いに戦うこと になるだろう。 "local master" パラメータは、Samba にローカル・マスタ・ブラウザとして 動作することを許可する。"preferred master" は、スタートアップ時 nmbd にブラウザ選定を行わせ、"os level" パラメータは Samba がブラウザ選定に 必ず勝利するように十分高く設定されている。 サブネット上にローカル・マスタ・ブラウザにしたい NT マシンがあるなら、 smb.conf ファイルの [global] セクションに次のオプションを設定すること により Samba がローカル・マスタ・ブラウザになることを禁止することがで きる。 domain master = no local master = no preferred master = no os level = 0 ドメインにおけるブラウジングのセットアップ ========================================== Windows NT ドメインに Samba サーバを追加するならば、ドメイン・マスタ・ ブラウザとして Samba サーバをセットアップしてはいけない。あるドメイン 名に対する Windows NT のプライマリ・ドメイン・コントローラは、デフォル トでその名前に対するドメイン・マスタ・ブラウザにもなる。したがって、 Samba サーバが PDC の代わりに WINS に NetBIOS 名 (DOMAIN<1B>) でドメイ ン・マスタ・ブラウザを登録してしまうと多くのことが破綻してしまうであろ う。 既に述べたように、Windows NT の PDC を含むサブネット以外のサブネットで Samba サーバをローカル・マスタ・ブラウザとしてセットアップしてもよい。 Samba サーバをローカル・マスタ・ブラウザにするには、 smb.conf ファイル の [global] セクションに次のオプションを設定する。 domain master = no local master = yes preferred master = yes os level = 65 Samba サーバに同じサブネットの他のマシンと選定を戦わせたければ、 "os level" パラメータを低く設定してもよい。このようにすると、それらが実行 中であるかぎりローカル・マスタ・ブラウザになるマシンの序列を調整するこ とができる。これに関するより詳細な説明は、以下の "Samba を強制的に マスタにする" という節を参照のこと。 すべてのサブネット上にドメインのメンバーである Windows NT マシンがあり、 常時実行中であることを保証できるならば、smb.conf ファイルの [global] セクションに次のオプションを設定することにより Samba サーバがブラウザ 選定に参加することやローカル・マスタ・ブラウザになることを禁止できる。 domain master = no local master = no preferred master = no os level = 0 Samba を強制的にマスタにする ============================ どれが「マスタ・ブラウザ」になるかということは、ブロードキャストを用い た選定プロセスにより決定される。各選定パケットには、あるホストが選定に おいてどのような優先度 (バイアス) を持つべきかを決めるいくつかのパラメ ータが含まれる。デフォルトでは、Samba は非常に低い優先度を用いており、 ほとんど他のどれに対しても選定で負ける。 Samba に選定の勝利を希望するならば、smb.conf の "os level" global オプ ションを高い値に設定すればよい。そのデフォルトは 0 である。34 を用いる と、他のすべてのシステムに対するすべての選定で勝利する。(ただ、他の Samba システムを除いて!) "os level" の値を 2 にすると、WfWg および Win95 には勝つが、NTAS には 勝てない。NTAS ドメイン・コントローラは、レベル 32 を用いている。 os level の最大は 255 である。 スタートアップ時 Samba に強制的に選定を行わせたければ、smb.conf の "preferred master" global オプションを "yes" に設定すればよい。このよ うに設定した Samba は、設定していない他のマスタ・ブラウザ候補より若干 有利になる。このパラメータは注意して使用する必要がある。というのは、も し同一ローカル・サブネット上にある 2 台のホスト (Windows 95、NT、Samba のいずれでも) に対して "preferred master" が "yes" に設定されていると、 周期的かつ継続的にローカル・マスタ・ブラウザになるための選定を強制する からである。 Samba を「ドメイン・マスタ・ブラウザ」にしたいならば、 "preferred master" も "yes" に設定することを推奨する。なぜなら、Samba はそれ自身 のブロードキャストが届くサブネット上でローカル・マスタ・ブラウザ になれないと、LAN あるいは WAN 全体のドメイン・マスタ・ブラウザに なれないからである。 2 台の Samba サーバが一つのドメインのドメイン・マスタ・ブラウザになる ことを試みるように設定することが可能である。最初に立ち上がったサーバが ドメイン・マスタ・ブラウザになるであろう。他のすべての Samba サーバは 5 分ごとにドメイン・マスタ・ブラウザになろうと試みるであろう。それらは 既に他の Samba サーバがドメイン・マスタ・ブラウザであることを知って諦 める。これは、現在のドメイン・マスタ・ブラウザの故障に備えて自動的冗長 化を提供するものである。 Samba をドメイン・マスタにする ============================== ドメイン・マスタは、サブネット間でブラウジングができるように複数のサブ ネットのブラウズ・リストを収集する役割を担っている。smb.conf で、 "domain master = yes" と設定することにより Samba をドメイン・マスタと して動作させることができる。デフォルトではドメイン・マスタとならない。 NT ドメインと同一の名前を持つワークグループに対するドメイン・マスタと して Samba を設定してはいけないことに注意してほしい。 Samba がドメイン・マスタで、かつマスタ・ブラウザであると、それは他のサ ブネット上のローカル・マスタ・ブラウザから (ほぼ 12 分ごとに) master announcements を受信し、ブラウズ・リストを同期させるためにそれらと接続 する。 Samba をドメイン・マスタにしたいのなら、選定に勝つように "os level" を 十分高く設定し、さらにスタートアップ時に Samba に選定を強制するように "preferred master" を "yes" に設定することを勧める。 NetBIOS 名を解決するためにすべてのサーバ (Samba を含む) とクライアント が WINS サーバを使っていなければならない点に注意してほしい。もし、クラ イアントが NetBIOS 名を解決するためにブロードキャストだけを使っている とすると、以下の二つのことが発生する。 a) ローカル・マスタ・ブラウザが、ローカル・サブネットだけを探すのでド メイン・マスタ・ブラウザを見つけられないだろう。 b) あるクライアントが、たまたまドメイン全体のブラウズ・リストを取得し、 そのリストのあるホストにアクセスを試みたとしてもそのホストの NetBIOS 名を解決できないであろう。 しかしながら、もし Samba もクライアントも WINS サーバを使っているなら 以下のようになる。 a) ローカル・マスタ・ブラウザが WINS サーバにアクセスする。WINS サーバ に Samba がドメイン・マスタ・ブラウザであると登録されているならば、 ローカル・マスタ・ブラウザはドメイン・マスタ・ブラウザとして Samba の IP アドレスを受け取ることになる。 b) あるクライアントがドメイン全体のブラウズ・リストを受け取り、ユー ザがそのリストのホストにアクセスを試みると、そのホストの NetBIOS 名を解決するために WINS サーバにアクセスするであろう。そのホストが NetBIOS 名を同一の WINS サーバに登録しているかぎり、ユーザはそのホ ストを見ることができる。 ブロードキャスト・アドレスに関する注意 ====================================== あなたのネットワークが "0" ベースのブロードキャストアドレスを用いてい るならば (たとえば、それが 0 で終るならば) 問題にぶつかるであろう。 Windows for Workgroups は 0 のブロードキャストをサポートしていないよう であり、おそらくブラウジングも名前検索も動作しないことに気づくであろう。 複数インタフェース ================== Samba は現在複数のネットワークインタフェースを有するマシンをサポートし ている。もし複数のインタフェースを持っているならば、それらを構築するた めに smb.conf の "interfaces" オプションを使用する必要がある。詳細は、 smb.conf(5) を参照のこと。